ウクライナ避難民:アンナさんへのインタビュー

一般社団法人GOJOplusは、公益財団法人 日本財団の支援を受け、熊本県玉名郡玉東町役場と協働でウクライナ避難民受け入れ支援事業「Orange Network Project」(※以降、ONP)を実施。ONPを通じて、玉東町では2022年8月より6世帯17人のウクライナ避難民を受け入れています。

今回は、避難民家族2世帯目として町で暮らし始め、今なお玉東町で生活を続けているアンナさん(仮)に、日本での生活や日々の思いについてお話を伺いました。また後半部分では、ONPメンバーから見たアンナさんやウクライナの方々についてもご紹介します。

 日本への避難とONPメンバーとの思い出

2022年10月から、息子と一緒に玉東町で生活しています。この町は自然豊かで、町の人も優しく親しみやすい人ばかりで、毎日楽しく暮らしています。

ONPのメンバーは、私たちウクライナ避難民にとって親友であり、心の支えです。来日時のサポートだけでなく、生活に必要な言葉や知識、季節ごとの日本文化の楽しみ方など、日本で暮らすための大切なことをたくさん教えてくれました。みんなで秋の山を登山したり、日帰り旅行で行った阿蘇で初めての温泉「すずめの湯」を体験したり、熊本の名産であるイチゴ狩りをしたりと、さまざまなイベントを通じて冒険し、楽しい思い出づくりもできました。

アンナさんが登山で見た景色
ONPメンバーとウクライナ避難民の登山の様子

 

ウクライナの伝統料理であるボルシチ(ビーツを使用したスープ)とナリスニキ(ウクライナ風クレープ)をONPメンバーと一緒に作り、熊本市内のイベントで販売したことも大切な思い出です。レシピや材料は、私を含めたウクライナ避難民のみんなで提案しました。一時は長い列ができるほどお客さんに好評で、用意した料理は数時間ですべて売り切れました。また、少しでもウクライナの文化を感じてもらえるよう、当日は白地に赤の刺繡を施したウクライナの伝統衣装「ヴィシヴァンカ」を着用しました。母国の文化に触れてもらうことができて、本当に嬉しかったです。

 

来日のきっかけは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻でした。一時期はポーランドに避難していましたが、隣国であるため避難する人もとても多く、常に混雑している状況でした。もともと息子が日本に興味をもっていたこと、そして何よりも彼の安全を守りたいとの思いから別の避難先を探し始め、避難民の受け入れ支援をしているONPの情報をインターネットで見つけて、日本への避難を決意しました。

来日当時の私は全く日本語を話すことができず、息子も来日の数か月前から日本語の勉強を始めたばかりでした。町ではウクライナ語はもちろん英語を話せる人も少なく、はじめは言葉の壁に苦労しました。しかし、来日後のオリエンテーション(日本の文化や生活、ルールについて、通訳同席のもと行われた説明会)や日本文化に触れるイベントなど、ONPや玉東町役場を通じた多くの人の支えがあり、今では日本語で不自由なくコミュニケーションを取ることができるようになりました。親切な町の人たちや、大自然に触れることができる今の環境をとても気に入っています。日本食も大好きで、特にサーモンやまぐろの寿司、海鮮丼、出し巻き卵が好きです。

来日時、空港でのお迎えの様子

 

日本での生活と母国への思い

私は現在、熊本市内のホテルで働いています。楽しくてフレンドリーな同僚と助け合いながら仕事をしたり、世界各国から訪れる観光客と交流したりすることに、とてもやりがいを感じています。

また息子はウクライナの高校に在籍しており、オンラインで授業を受けています。ウクライナと日本の時差は6時間あり、例えばウクライナで午前9時に始まる授業は、日本では午後3時からになります。はじめのうちは生活リズムを整えるのが大変そうでしたが、今ではそのスケジュールにも慣れ、アルバイトと両立してくれています。

日本での暮らしに馴染んできたとはいえ、やはり母国が恋しい気持ちは強くあります。特に、今もウクライナで暮らす両親や愛犬に、いつも思いを寄せています。

帰国までの時間を日本で穏やかに過ごし、家族に再び会える日を心待ちにしています。

 

ONPメンバーにとってのアンナさん

アンナさんは、強い意志をもって何事にも積極的に取り組める人です。日本語の学習にも熱心で、知らない言葉はメモする、分からないことは何度も聞き返して覚えるなど、その努力と前向きな姿勢を心から尊敬しています。仕事探しでは、自分自身で働きたい職場を見つけ「仕事をさせてほしい」と店舗で直接交渉をしていました。その積極性と行動力には私たちも驚かされることが多いです。その一生懸命な働きぶりと人柄で、職場では頼れる存在だと聞いています。

またアンナさんは料理が本当に上手で、慣れた包丁さばきと手際のよさで、母の得意料理だというサバのオーブン焼き(サバの中にレモンや野菜を詰め、チーズをかけアルミホイルで包みオーブンで焼いた料理)を作ってくれた時は、とてもおいしく感動しました。熊本市内でウクライナ料理を調理・販売した際も、アンナさんをはじめウクライナの方々は皆、手際よく商品を提供していて、笑顔で楽しく接客している姿も印象的でした。

鯖のオーブン焼き

 

私たちにとっても、ウクライナから来た皆は大切な友人であり、仲間です。避難生活の中でも前向きに暮らそうとする姿や、日本語の勉強を頑張る姿、日本文化を理解しようと努力する姿に、私たちのほうが励まされ、学ぶことも多いです。たまに集まって食事をするのもとても楽しみで、戦争は悲しく許せないことですが、出会えたことには感謝しています。

私たちはいつでも、いつまでも、ウクライナの方々が住みたい場所で安全に暮らすことができ、会いたい人にいつでも会えるような、そんな世界になることを願っています。この先、それぞれの生活や環境が変わっても、ずっとお互いを大切に思い合える関係でいられたら嬉しいです。

記事作成:一般社団法人GOJOplus